日本の雇用の変革と雇用の流動化11:協力関係の重要性とM&Aの進展

経済学

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 消費者はショッピング・モールを利用することで、便利さや快適さを求めているのであって、不便さや不快感を感じることは避けたいと思うのが普通で、そこで協力関係を更に進める必要が出てくれば、ショッピング・モール内の店舗はより密接に連携し、共通のルールや基準に従うことになるだろう。

再び百貨店方式になるのかもしれない。

一つのサイト内で複数の商品やサービスを統一的に販売する形態で、どの商品を買うのにも全く同じサービスを受けられることが重要視されるかもしれない。

消費者は支払い方法や配送方法、ポイント制度やクーポン券などに関して、一貫性や安心感を求めるようになるかもしれない。

パソコンの世界を離れて一般社会に眼を転じてみても、インターネットの普及やグローバル化の進展によって、様々な分野で協力関係が必要とされるようになってきている。

まだ部門間の協力関係が重要なものは幾らでもある。

例えば教育や環境や福祉など、社会的な課題を解決するためには、多様な専門知識や経験を持つ人々が協力しなければならない。

それらの内の幾つかは規格を統一したり、共通の言語やプラットフォームを用いたりすることで、あるいはインターネット等のネットワークを活用することによって、情報や意見を素早く効率的に共有したり交換したりすることができるようになるだろう。

社外であっても現在と同様の連絡関係を維持できるようにはなるだろう。

インターネット等のネットワークは時間や場所に関係なくコミュニケーションを可能にするため、社外の人々とも連絡関係を維持できるようになるだろう。

例えば医療でも、医療は患者の健康や命に直結する重要な分野であり、多くの専門家が協力して診断や治療を行わなければならない。

内科と外科が別々だと手術のときに不便だ。

内科と外科が別々だと、患者の病歴や症状、検査結果などが正確に伝わらず、手術中にトラブルが起きたり、効果的な治療が行えなかったりする可能性がある。


しかしカルテは共通のフォーマットで書いて、カルテは患者の医療情報を記録する文書であり、標準化された項目や用語を用いることで、異なる医療機関でも共有しやすくなっている。

内科から外科の手術担当医にインターネットで送ることが出来るのであれば違う病院であっても特に問題になることはないのかもしれない。

電子カルテと呼ばれるデジタル化されたカルテを用いて、オンライン上でデータを転送することで、しかし、インターネットで送ることができるとしても、協力関係というのは連絡が取れるかどうかだけではない。

情報や意見を伝えたり受け取ったりすることができるかどうかで、内科から外科に送られたカルテに齟齬があった場合に、カルテに記載された内容が正しくなかったり、不足していたり、矛盾していたりする場合で、誰がどうやって責任を取るのかは決まらない。

カルテに齟齬があったことによって患者に不利益や被害が生じた場合に、その原因や責任者が明確にならず、適切な対応や処罰が行われない場合で、カルテを読み間違えた外科が法的に悪い等と言っても後の祭だ。

カルテを読み間違えた外科が法律上の責任を問われても、それでは患者の健康や命を取り戻すことはできないという意味で、協力関係とはそうした連絡を責任を持って行なえる関係であって、責任を持って行なえる関係とは、情報や意見を伝えたり受け取ったりする際に、正確さや信頼性を確保し、問題やトラブルが発生した場合には迅速かつ適切に対処することを約束し合う関係で、こうした関係に至るにはある種の共同運命体的な意識が必要となるだろう。

共同運命体的な意識とは、互いに協力し合って目標や利益を共有し、困難や危機に直面した場合には助け合うことを認識し、感じることで、従来の経済ではそれを同一の会社にいることによって、同じ組織や団体に属していることによって、互いに連帯感や帰属意識を持つことで、業績が双方に影響するという関係で維持していたしあるいは、互いの業務や成果が相手の業務や成果に影響を与えることで、互いに責任感や協調性を持つことで、長期的安定的な取引関係を維持することによって双方の業績にお互いに貢献しあうという関係を持っていた。

互いの商品やサービスの質や価格、納期や対応などに満足し、信頼し合って長く取引を続けることで、互いの売上や利益を高め合うことで、こうした分野がまだ残るのであれば、協力関係が重要な分野で、まだ日本的な雇用システムも生き残れる可能性があるかもしれない。

終身雇用や年功序列制度などを特徴とする雇用システムで、現にスピン・オフの一方で米国で起こっているもうひとつの流れはM&A(合併や買収)で、スピン・オフとは、大企業が自社内の事業部門や子会社を切り離して独立させることで、典型的なM&Aは同業者同士の合併で、同じ業種や分野で事業を行っている企業が一つになることで、共通するコスト部門を削減して規模の利益を狙うものであったが最近では、企業規模が大きくなることでコストやリスクを低減し、収益力や競争力を高めることを目指すもので、インターネット関連企業を始めとして隣接する分野の企業を買収する新規事業進出型の合併も珍しくはない。

ネット接続最大手のAOLとコンテンツ・ビジネス大手のタイム・ワーナーが合併したのはその代表例と言えよう。

この合併は2000年に発表され、2001年に完了した歴史的な大型合併で、こうした合併では、インターネット関連企業やメディア関連企業が多く関与する合併では、単純なコスト削減は大きな意味を持たない。

コスト削減は企業の経費や人員を削減することで利益率を高めることを目的とするが、それだけでは市場の変化に対応できないからで、必要なのは情報の共有化というか社内資産を連携的に利用して相互作用を及ぼすことだ。

企業内の様々な情報や資源を有効に活用し、相乗効果やシナジー効果を生み出すことで、当然にして協力関係が重要視されることになるだろう。

企業内の部門や部署、あるいは合併した企業同士が互いに協調し、目標や利益を共有し、問題や困難に対処することで、もちろん、協力関係が重要視されることになっても、これら企業の協力関係のあり方はあくまで米国の文化や歴史を背景としたものでもあり、米国では個人主義や自由競争が重んじられ、企業間や部門間の競争や対立も激しいことが多いため、協力関係を築くことが容易ではないことを意味する。

従来の日本型システムとは異なるものなのだろう。

従来の日本型システムとは、終身雇用や年功序列制度などを特徴とする雇用システムや、系列会社や取引先企業などと密接な関係を持つ経営システムで、だが従来の単純な米国型アウトソーシングだけが、自社で行っていた業務や機能を外部の専門企業に委託することでコスト削減や効率化を図ることだけが、ビジネス・モデルでもないとは、単に外部に業務を委託するだけではなく、外部との協力関係を構築することも重要であるということで、ビジネス・モデルでもない。

企業がどのように価値を創造し、提供し、獲得するかという仕組みや戦略で、日本が日本的雇用システムを活かせるビジネス・モデルを開発できる可能性もないとは言えない。

日本的雇用システムを活かせるビジネス・モデルとは、長期的安定的な雇用関係を基盤として、社員の忠誠心や協調性、継続的な能力開発などを強みとして、競争力や収益力を高めることができるビジネス・モデルで、私の所属する資産運用分野の世界では日本のみならず、投資家から預かった資金を株式や債券などの金融商品に投資し、運用益を得ることを目的とする分野で、欧米でも比較的長期安定的な雇用関係が維持されているケースが多い。

資産運用会社がファンド・マネージャーなどの社員を長期間雇用し、解雇や移籍が少ないことを指す。

もちろん時には多額の報酬を得て移籍する人間もいるし、ファンド・マネージャーなどの社員が他社から高額のオファーを受けて転職することもあるということで、世間的にはヘッジ・ファンド等で華々しく活躍する人々が目に付きやすいので短期的な雇用形態であるような錯覚を持たれやすい。

高リスク高リターンの投資戦略を行うヘッジ・ファンドなどでは、ファンド・マネージャーなどの社員が短期間で大きな成果を上げたり失敗したりして頻繁に入れ替わったりすることが多く、その様子がメディアに取り上げられたりすることで、資産運用分野全体がそういう雰囲気であるかのように思われたりすることを意味する。

しかし、実際には伝統的な資産運用会社では、投資家から預かった資金を株式や債券などの金融商品に投資し、運用益を得ることを目的とする会社で、ファンド・マネージャーの報酬は運用成績の良し悪しによる単純な能力給であるケースは意外と少なくまた一年毎の契約更改とは言っても、ファンド・マネージャーなどの社員が毎年雇用契約を更新することを前提としつつも、それだけでは雇用関係が不安定であることを示唆する表現で、平均した勤続年数はかなり長いことが多いようだ。

ファンド・マネージャーなどの社員が同じ会社で長期間働くことが一般的であることを示し、これは資産運用というサービスにおいて顧客と会社の信頼感が重要であり、投資家が資産運用会社に自分の資金を預ける際に、その会社やその社員が信頼できるかどうかが大きな判断基準になることを意味する。

その信頼感の中にはファンド・マネージャーの安定性・定着性もひとつの重要な要素として含まれているからだと思われる。

ファンド・マネージャーが長期間同じ会社や同じファンドで働くことで、その投資スタイルや実績に一貫性や信頼性が生まれることを示唆する言い方で、ここが短期間の売買で収益を上げることだけを目標とされたディーラーの雇用とは大きく異なる点であり欧米と言えどもディーラーは市場で金融商品を売買する人々であり、その売買益や手数料によって報酬が決まり、雇用関係も短期的で不安定なものが多いことを示す一方で、欧米でも資産運用分野ではそうではないことを示す表現で、その職種によっては雇用形態が一様ではないことを示すものといえるだろう。


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