漫画は何か 鳥獣戯画から始まりジャンプやマガジンなど

漫画

t f B! P L

現在の日本社会において、漫画は主に若者を対象とした大衆文化であると言える。

しかし、「漫画」とは一体何を指すのだろうか。

ここでは、「漫画とは何か」について考えてみることにする。


(1)漫画のはじまり


日本の漫画の起源は、今から約800年前までさかのぼることができる。

平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、『鳥獣人物戯画』や『画鬼草紙』などの「絵巻物」が作られた。

絵と文字で何かを表現することは、絵巻物という形だでに存在していた。

しかし、当時、絵巻物は貴族や僧侶などの支配階級が楽しむものであり、一般大衆を対象としたものではないものだった。


江戸時代中期、大阪の出版社が木版画の戯画本「鳥羽絵本」を売り出したことが、漫画の普及のきっかけとなった。

同時に、「鳥羽絵」という言葉自体が漫画を意味するようになった。

鳥羽絵」とともに、「劇画浮世絵」や浮世絵の一分野である「風刺浮世絵」もこの時期、人々の間で流行し、これらは近代漫画の出現の原点に位置づけられる(清水、1999:4-16)。


漫画」という言葉は、1814年に葛飾北斎の「北斎漫画」のタイトルとして初めて登場した。

この「漫画」という言葉は、文字通り「気まぐれな絵」を意味し、今日のように「漫画」という言葉がまとまった一連の絵や「コミック」を指すようになったのは、20世紀に入ってからである(Schott,1997:32)。


明治後期になると、近代的な意味での「漫画」という言葉が使われるようになるが、「鳥羽絵」「ぽんち」「京本」といった表現はまだ使われていた。

大正時代になると、「漫画家」「漫画雑誌」「少年漫画」など、さまざまな意味で「漫画」という言葉が使われるようになる。

そして、1970年代頃から、漫画は「コミック」という新しい名前で呼ばれるようになった。

この名称の普及には、雑誌『ビッグコミック』の人気が一役買ったと言われており、1970年代半ば頃に「少女漫画」という言葉が生まれた(清水,1998:11)。


そして現在では、「漫画」「コミック」「漫画」「コミック」など、漫画を指すさまざまな用語が使われている。

最近では、「漫画」とひらがなで明記されることも多いが、両者の違いは特に明確ではなく、あいまいなまま使われている(本稿では、漫画が現代における国際文化であることから、「漫画」で統一している。)


(本稿では、漫画が国際的な文化となっていることから、「漫画」と表記する)。また、アニメーションを広義に漫画の一分野とする場合もあり、近年では単行本を「コミック」と呼ぶこともある。

また、雑誌ではなく、コミック文庫や愛蔵版など、書籍として出版される漫画の形態も様々だ。


つまり、今日の漫画文化は、これほどまでに広く、多様な形で社会に浸透しているのだろう。


 (2)漫画の特徴


漫画の明確な定義はないが、夏目(『コミックファン』第12号、2001年:7)によれば、主に歴史的定義、国内的定義、表現的定義の三種類で定義することができる。


歴史的な定義


 19世紀に新聞諷刺画が近代出版物や大衆社会に定着したことに始まる、複数のコマを用いた物語表現文化。


国内の定義 


 の諷刺画の影響を受けて明治以降に成立し、大正期の漫画の影響を受けて物語的表現となった大衆娯楽の一形態を指す。


表現主義」の定義


 絵・コマ・言葉の3つの要素の相互関係によって時間や空間を構成する表現媒体。


現在の「漫画」という言葉は、戦後の手塚治虫のストーリー漫画に由来し、戦前の紙芝居形式の「漫画」とはスタイルを異にしている。

しかし、漫画が「文字」という言語情報と「絵」という画像情報を同時に兼ね備えているという点では変わらない。


映像メディアとは異なり、音や目に見える「動き」がないのが漫画の最大の特徴だ。

さらに、日本の漫画の場合、印刷の関係上、アメリカンコミックのようなカラーではなく、モノクロで表現する必要があった。

このような背景から、漫画表現は絵とセリフを巧みに使いこなし、今日まで発展してきたと言える。


極論すれば、漫画は紙とペンさえあれば作ることができる。

一つの作品を作るために共同作業を必要とする映画やアニメーションとは異なり、作家の創造性に余裕があり、コストもかからない。

また、テレビではなく雑誌を使うという比較的緩やかな制約があることも、漫画とテレビアニメの違いといえる。


特に週刊誌の場合、原稿が完成してから世に出るまでの日数が比較的短く、小説やテレビドラマに比べて時代を反映した作品を作りやすいということも指摘できるだろう。

このことが、娯楽に飢えていた終戦直後から漫画が活気を取り戻し、現在に至るまで急速に日本社会に浸透していった理由の一つであろう。


(3)漫画の他メディアへの展開


しかし、現代における漫画は、上記のような本来の概念の定義に収まりきらない、さまざまな発展を遂げている。

その一つがいわゆる「メディアミックス」現象で、1980年代半ば以降、漫画はアニメーション産業だけでなく、ビデオゲームや玩具、菓子産業など、他のメディアとの融合が盛んに行われるようになった。


例えば、1987年から1988年頃に大ヒットした「ビックリマンチョコ」(以下、ビックリマンチョコ)は、この頃に活発化した漫画のメディア展開と密接に関係している。

ビックリマンチョコ」の爆発的な人気は、1971年から1974年にかけての「仮面ライダースナック」カードの人気とは大きく異なっていた。


オマケに意味があり、お菓子としての商品価値が低いという意味では、1970年代の「仮面ライダースナック」と「ビックリマンシール」には共通点がある。

しかし、大塚(1988:12)によれば、「ビックリマンチョコ」が従来の「オマケ付きスナック」と異なるのは、「『ビックリマン』の原作コミックやテレビシリーズがあらかじめ存在しない」点である。

また、「ビックリマンシール」は、単にシールの集合体としてだけでなく、シールの背後にある「世界観」を構築する情報としても機能する点で、これまでの消費形態とは異なるものであった。


さらに、この消費形態は、『キャプテン翼』や『聖闘士星矢』など、1980年代の同人誌ブームと連動していた。

大塚(1988:18-21)によれば、これらのパロディ同人誌は、厳密には「原作」を弄ったパロディではない。

彼らは、原作から「プログラム」としての「世界観」を受け取り、そのプログラムの順序に従って、独自の創作装置を凝らし、独自の「物語」を描いている。

そこには、製作者である原作者も、原作者であるオリジナルもなく、「自らの手で創造し消費する無数の消費者」(大塚、1988:21、24)しか存在しない。


同人誌でパロディが好まれる理由のひとつに、情報の共有や仲間との共同作業を志向する「オタク志向」に合致していることが挙げられる(大沢、1993:232)。

同人誌を販売するコミックマーケットは、参加者が自分の作品を発表する場であると同時に、作品を通じて自分の趣味に近い友人関係を築くことができ、コミュニケーションの場にもなっている。


さらに、今日の漫画文化の特徴を考える上で、1983年に発売された「ファミリーコンピュータ」に代表されるビデオゲームの影響も無視できない。

1984年に連載が開始され、今や国民的人気漫画として知られる『ドラゴンボール』は、「『異界』の幅と奥行きいっぱいにバトルを展開し」、「『生命の躍動感』を削ぎ落とし、戦闘力の象徴的強化のみを『成長』の証とする」(斉藤、2003、p.3)。(斎藤、1996:230、232)。

斎藤は、『ドラゴンボール』が本格的なファンタジーに発展する可能性を持ちながら、「戦闘中心」の物語を好む読者の欲求に応え、「訓練」やトーナメント方式の戦闘を単純なギャグで乗り切ることを繰り返していると指摘している。


ドラゴンボール』をはじめとする数々のヒット作により、『週刊少年ジャンプ』(以下、『少年ジャンプ』)は1990年代半ばに600万部の大台に乗り、1974年から24年間、少年誌のトップの座を守り続けている。

少年ジャンプ」は、一度は「週刊少年マガジン」(以下、「少年マガジン」)に発行部数の王座を奪われましたが、2001年現在、他メディアへの積極的な展開などにより、復活の兆しを見せている。


 ワンピース」「遊戯王」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に加え、今年は計6本のテレビアニメが放送中だ(注):"シャーマンキング"、"ヒカルの碁"、"テニスの王子様"などだ。

この点について、本誌編集長は「以前より積極的にアニメを推進しているのは事実。

これは、漫画の収益構造が変わったからだ。""子どもたちのお金の使い方が変わってきた。

アニメ、ゲーム、グッズなど展開を広げて、細かいところで(利益を)すくい上げないといけない」。"(朝日新聞2001年10月15日夕刊)というものである。

また、「ジャンプアニメ」3作品を同じ曜日に放送しているテレビ東京も、「3作品を並べることで相乗効果を期待している」(朝日新聞2001年10月15日夕刊)とコメントしている。


(注)本記事執筆時点の2001年のことだ。


漫画・アニメの映画化は、まず書籍の売り上げを伸ばし、次いでゲームソフト、キャラクターグッズなどの商品を増やす。

近年、関連商品の中心がお菓子よりもゲームに移っていることは、小学生をメインターゲットにした「コロコロコミック」が、ゲーム市場で爆発的ヒットとなった「ポケットモンスター」などの情報を独占的に掲載し、積極的なメディア展開で売り上げを伸ばしていることからもわかる((朝日新聞夕刊、1997/7/28)。


1990年代末に社会現象となった「遊戯王」は、単行本21巻が発売された2001年4月時点で、累計1250万部を売り上げている。

しかし、これは必ずしも原作漫画が人気となり、カードゲーム化されてさらに爆発的なヒットとなったことを意味するものではない。

オリコンのマーケティング部門によると、"遊戯王"は「TVアニメ放送中はあまり動かなかった」が、「アニメ終了後に発売されたゲームボーイソフトが爆発的な人気で、旧版の売り上げが急増した」(『コミックファン』No.07、2000:32)。(コミックファン』No.07,2000:32)。

遊戯王」の作者も「最初はゲーム全般を考えていたが、カードを導入したら読者の反応が良かった」と述べており、カードバトルがメインとなった(『朝日新聞』2000年12月21日)。


遊戯王カード」は、「約900種類のカードから約40枚の手札を作り、カードの攻撃力や防御力、効果を駆使して相手のライフポイントを奪い合う」(朝日新聞朝刊、2000年12月21日)もので、1999年の発売以来、大ブームとなった。

ブームの背景には、レアカードの高値取引や万引き、窃盗などの問題が指摘されることが多い。

しかし、「遊戯王カード」のコレクションは、年齢や地域を超え、子供だけでなく大人も一緒になって「デュエル」を通じて交流を深めることにつながった。


 カードゲームの爆発的なヒット、テレビアニメ化、原作漫画の人気などが影響した『遊戯王』の成功に至る過程は、1970年代頃までの「原作(漫画)→書籍→アニメ→関連商品の発売」という流れとは明らかに異なっている。近年では、漫画のキャラクターなどを主役にした映画がヒットするという流れが一般的になってきている。


近年は、漫画の主人公をキャラクターとして様々な商品に登場させるキャラクタービジネスが注目されている。

その背景には、流行に左右されず、世代を問わないキャラクター人気の安定性があると思われます。

企業側にとってキャラクタービジネスは、ターゲットとなる年齢層への訴求力が大きいと同時に、商品のコンセプトやイメージをわかりやすく表現できるメリットがある。

一方、漫画を連載する出版社にとっては、著作権による利益の増大だけでなく、パブリシティ効果による作品の書籍・雑誌の販売増というメリットがある(清水、1999:113)。


こうした傾向は、漫画が読み物としてだけでなく、商品としての価値を見いだし、メディア展開の中でますます変容・浸透していることの証左といえる。

たとえば、1990年代前半に『なかよし』で連載され、大ヒットした『美少女戦士セーラームーン』は、連載開始と同時にメディア戦略を積極的に行った作品の一つである。

その結果、『なかよし』の発行部数は1992年から1993年にかけて100万部増加し、『美少女戦士セーラームーン』のキャラクターグッズの総売上は全部で3000億円と言われ、書籍やアニメは23カ国以上に輸出された(Schott、1997:78-80)。(3)漫画文化の現在


(4)漫画文化の現在


現代日本における漫画文化は、その勢力を拡大し、形態も多様化している。

そのひとつの表れが、前節で述べたような、漫画の他メディアへの展開や融合である。

いずれにせよ、今日のコミック市場は、1990年代半ばにピークを過ぎたにもかかわらず、「コミックに溢れている」と言われるほど肥大化している。

国税庁が公式に発表している高額所得者の部門別ランキングでは、1970年代頃から漫画家が登場し、漫画による収入の大きさを示している。


出版科学研究所の「出版指標年報1999」によると、1998年度に正規ルートで販売された漫画雑誌の総数は278誌であり、販売額、発行部数ともに日本の雑誌書籍全体の3〜4割を占めている。

漫画本と漫画雑誌の推定発行部数は約14億部、推定販売部数は約11億部、推定販売金額は約5500億円である。

読者の間での漫画の「流通量」を考慮すると、日本における実際の漫画の普及率は、この数字よりもさらに高いと推測されます。

1996年以降、漫画全体の売上は徐々に減少しているが、漫画は出版社を支え続けており、日本ほど漫画文化が浸透している国はないのではないだろうか。


また、最近の漫画文化の傾向として注目すべきは、漫画の国際化である。

1990年代頃からアジアとの文化交流が活発になり、音楽、テレビドラマ、ファッションなど日本の大衆文化が韓国、台湾、香港を中心としたアジアの若者たちに注目されるようになった。

漫画、アニメ、ゲームも例外ではない。


例えば、少年誌史上初の囲碁漫画である「ヒカルの碁」は、単行本11巻が発売された2001年4月時点で累計750万部を突破し、話題を呼んでいる。

こうした人気は日本だけにとどまらず、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイでも出版され、特に韓国とタイではそれぞれ3万部を超える人気となっている(朝日新聞夕刊、2001.4.19)。


近年は特に韓国との交流が盛んなようで、今年5月には初めて、同じ作品を日本語と韓国語で翻訳して掲載する週刊漫画雑誌が両国で創刊された(朝日新聞朝刊2001.5.15)。

また、韓国の人気漫画の日本語版を日本で定期的に発行している「タイガーコミックス」も創刊された。


シンガポール国立大学日本学科助教授のン・ワイミンは、アジアにおける日本の大衆文化の人気の理由を「日本文化の質の高さに加え、各国の所得水準の上昇と日本側の販売戦略の成功」(朝日新聞、2001年4月17日)としている。

しかし、日本文化は近年大きなブームを迎えているが、欧米文化の影響力に匹敵するほどのものではないと指摘している。

しかし、世代差はあるものの、多くの若者が日本の大衆文化を楽しんでいることも指摘している:「戦争の影響もあり、年齢層が高いほど、特にアジアに住む中国系住民の日本に対する反発は強い」(朝日新聞朝刊、2001年4月17日)。


日本の大衆文化を海外に輸出することは、日中間の文化交流を促進する一方で、国民性や歴史的・社会的背景の違いから、文化的摩擦を引き起こす可能性もある。

実際、グローバル化が進む中、中東では「ポケットモンスター」が「イスラムの教えに反する」として標的にされたり、「早くから日本のアニメが進出した欧州でも偏見が強い」(朝日新聞朝刊、2001年4月17日)。

 


日本のアニメーションは、1970年代から海外で注目されるようになった。

ドラえもん』や『ドラゴンボール』などが次々と放映され、当初は映像でファンを開拓していったが、原作の翻訳本も人気を博した。

しかし、「ポケモン」もあたかもアメリカからやってきたかのような作りになっている。

日本発であることを知らない子供も多い」(朝日新聞・朝刊)。


日本の漫画やアニメは古くからモノクロで表現され、登場人物の人種が外見(髪や目の色など)で限定されることが少ない「無国籍文化」とも言える。

また、歴史的背景や設定も「日本的」でないため、外国人にも受け入れられやすい。

カードゲーム「ポケモン」は大ヒットし、米国などではテレビアニメも放映されている。


これらの作品は必ずしも「日本」のアニメーションとは言えないかもしれないが、近年は「ジャパニメーション」という言葉に見られるように、日本のアニメーションは独自のメディア産業として位置づけられる傾向がある。

2001年、『千と千尋の神隠し』が日本映画の興行成績で1位となり、宮崎駿の一連の作品を含む日本アニメーションの人気は、国内のみならず、ヨーロッパ、アジア、アメリカなどラテン諸国にも広がっている。


清水(1999:13)は、「漫画は国際語『MANGA』として世界的に認知され、浮世絵に次ぐ日本を代表する大衆文化として成長を続けている」と述べている。漫画は今や日本だけでなく海外でも巨大な市場を形成しており、他のメディアにも大きな影響を及ぼしているようである。

人気の投稿

このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

こんにちは!ゆうすけと申します。このブログでは、さまざまなジャンルやテーマについての情報やアイデアを共有しています。私自身、幅広い興味を持っており、食事、旅行、技術、エンターテイメント、ライフスタイルなど、幅広い分野についての情報を発信しています。日々の生活で気になることや、新しい発見、役立つヒントなど、あらゆる角度から情報を提供しています。読者の皆さんがインスパイアを受け、新しいアイデアを見つける手助けができれば嬉しいです。どのジャンルも一度に探求する楽しさを感じており、このブログを通じてその楽しさを共有できればと考えています。お楽しみに!

人気記事

ブログ アーカイブ

テキストの遊園地、vimの全オプション

このブログを検索

人気ブログランキングへ


QooQ