エビオス錠については、もうどうしたって語らざるを得ないんだ。避けようにも避けられない、まるで運命のように。この小さな錠剤に隠された、あまりにも大きすぎる秘密。いや、これはもう…秘密というより、知るべき真実だ。
事の発端は、ある日の昼下がりだった。いつものように冴えない顔で昼飯を食っていた俺に、ある先輩が声をかけてきたんだ。その人、普段からちょっとエロい方向に敏感というか、情報通というか…まあ、正直に言うと、そういう話が大好きなタイプでさ。「お前、エビオス錠って知ってるか?」と唐突に言い放ったのが始まりだった。
「エビオス飲むとさ、なんかこう…精力がドバドバって感じで湧いてくるらしいよ」
俺は一瞬「は?」って顔したと思う。だって薬の名前からは全然そんなイメージ湧かないだろ?エビ?オス?なんか海産物みたいじゃん?でもそのときの先輩の目、ギラギラしてたんだよ。嘘ついてるやつの目じゃなかった。むしろ、真理に辿り着いた哲学者のような光だった。
その夜、俺は寝る前にスマホで「エビオス錠 精力」とか「エビオス 性欲」とか検索してた。するとどうだろう、出てくるわ出てくるわ、やれ「爆発的に精力アップした」とか「朝立ちが止まらなくなった」とか、「奥さんにバレそうになった」とか、体験談が阿鼻叫喚状態。もうこれは確かめるしかないだろ?理性ある男なら誰だってそうするはず。
翌朝、近所のドラッグストアに直行した。開店時間と同時に入店して、サプリメントコーナーを直撃。あった。黄色いパッケージ。『エビオス錠』とデカデカと書かれていた。棚の端っこでひっそりと佇んでいたその姿は、まるで俺を待っていたかのように輝いて見えた。即購入。ためらいはなかった。心はすでに決まっていた。
さて、ここであらためて「エビオス錠」について説明しよう。まあ、正確には説明しなきゃならないという強迫観念にも近い使命感がある。エビオス錠はアサヒグループ食品が販売している栄養補助食品で、その主成分はビール酵母。あのビール、そう、酔っぱらうやつ。でもこれはアルコール抜き。残された酵母だけが使われている。
ビール酵母には、たんぱく質、ビタミンB群、ミネラル、アミノ酸など、人間が生きるために必要な栄養素がギュッと凝縮されているらしい。しかも天然由来。つまりナチュラル志向。エコ。安心安全。副作用なし。昔から妊婦さんや虚弱体質の人の栄養補助にも使われてきたという伝統ある錠剤だ。
だが俺が知りたいのは、そんな一般的な効能じゃない。そう、「ドバドバ」である。精力だ。男の本能だ。理屈じゃない。体が、いや魂が求めている。飲まざるを得ない。
というわけで、飲み始めた。1日3回、食後に10錠ずつ。最初は「10錠って多くない?」と思ったけど、容赦なく口に放り込む。喉がゴロゴロいう感じがする。これが生きてるってことか、と思った。錠剤を流し込む瞬間、妙な達成感がある。やってやったぞ、という充足。いや、これはもう儀式だ。エビオスの儀式。
そして、効果が現れるまでに時間はかからなかった。いや、むしろ早すぎた。最初の夜、なんかこう…股間がムズムズする。特に何もしてないのに、心の奥から湧き出る何かがある。次第にそれは熱となって体を巡り、やがて一つの感情に結実する。――ヤバい、なんか、したい。
そう、性欲だ。それも通常のやつじゃない。何倍にも膨れ上がったモンスター。抑えきれない。理性で蓋をしても、内部から破裂するタイプ。かといってそれを発散する場があるわけでもない。だから、夜は地獄だった。布団の中でひたすら己と戦う。気を抜くと、手が勝手に動きそうになる。脳が命令してないのに。完全に暴走。もはや人間ではない。性の獣。
この異常な状態をどうにかしようと、俺は枕を抱きしめて歯を食いしばった。だが、それでは足りなかった。気づいたら枕に噛みついていた。しかもボロボロになるまで。明らかに異常だ。暴力的になるというより、理性のバリアが破れかけていた。だが、それでもエビオスの摂取は止められなかった。だって、やめたら…元に戻ってしまう。それが怖かった。
精力はもはやチャージされすぎて、常時フルゲージ状態。何かの拍子でスイッチが入ると一気に爆発する。その“出るとき”は、もう自分でも引くくらいの勢い。まるで何かのスプリンクラーか、あるいはホースから水を噴射するような…。まあ、ここではあまり詳しくは書かないが、恥ずかしさを通り越して、もはや誇りに思うレベル。これは戦士の証。エビオス戦士。
ネットの情報は嘘じゃなかった。あの先輩の目は、真実を知る者の目だった。俺は信じる。エビオスを。
というわけで、エビオス錠をおすすめしたい人をここに列挙する。
まず、自分の精力に不安を感じている人。なんとなく元気が出ない、朝からぼーっとしてる、そんな男たちよ。エビオスが救いになるかもしれない。
また、性生活に悩んでいる人。パートナーとの関係に火がつかない。体は動くのに気持ちが乗らない。そんな君に必要なのは、ロマンチックな演出でも、高級なディナーでもない。黄色い小瓶だ。すべてはそこから始まる。
それから、最近何かに負けた気がして、自信をなくしている人。社会の中で自分の存在意義を見失いかけている人。男としてのプライドが薄れていると感じている人。エビオスは、君の中に眠っている獣を目覚めさせてくれる。これは誇張でも何でもない。事実だ。